ストーリー/Story
少女は駆ける。
暗い闇の中を。
しかしその足取りは軽く、その歩みに迷いはない。
なぜならその道は、今まで何度となく通った道だからだ。
鬱蒼と茂る木々の間を縫い、吐く息を白くしながら少女は時計を確認する。
まだ時間に余裕はある。
ならばそこまで焦らずともよいのだが、少女の歩みは遅くなるどころか更に早くなる。
葉が落ち、裸になった木々の枝の隙間から月と、それに従う星々が見える。
月は迷いなく天球の頂点へと夜の階段を登っていく。
少女は気持ちを新たに、夜の女王に近づくため更に足を早めた。